【初めてのICT】ICT施工で効果がでやすい工種とは

どんな工事で効果を実感できますか?

小規模土工×ICT施工(らくらく施工を含む)の入門ガイド

はじめてICT施工に触れるとき、いちばん気になるのは「自分たちの現場で本当に効果が出るのか」だと思います。

結論から言えば、丁張や測量の手戻りが出やすい小規模土工ほど、効果を実感しやすい傾向があります。

 

ここでは、下図に沿って、どの工種から始めるとよいかをやさしく整理します。(縦軸=導入効果〔生産性〕、横軸=金額〔施工図作成費用〕)

※前提:初回は部分ICT(位置出し・出来形)を想定。複雑構造のフル3Dは対象外

図の“読み方”

縦軸が上(↑)に行くほど生産性の伸びが大きく、

横軸が右(→)に行くほど準備(3D側)の費用や手間が増えます。

前提として、部分ICTの内「らくらく施工」を実施したケースで想定しています。

最初からフル3D・大規模自動化を狙うのではなく、

位置出しと出来形の確認をデジタルに置き換え、手戻りを減らすことを狙います。

 

効果が高く、準備も重くない・最初の一歩に向く工種

舗装工事・盛土工事・河川の整地区間は、図の左上に位置づけられます。

直線や緩い曲線が多く、片勾配・両勾配といった“面”の管理が中心になるため、

少人数での位置出しと色分けでの出来形確認で効率化を実感しやすいです。

やり方はシンプルです。

紙やPDFの図面を手がかりに、中心線と勾配から“軽い3Dデータ”(仕上げ面の簡易モデル)を作り、

  • 位置出:杭ナビ等の誘導で丁張を最小限に減らせます
  • 出来形:タブレットで高い/低いを色分けして、その場で是正できます

位置出しと出来形を、ICT化するだけでで、測り直しが減り、段取り時間が短くなるのを体感できます。

 

効果は高いが、準備は少し増える・次におススメの工種

道路改良(曲線あり)・法面工事は、図の中上段です。

カーブや勾配の遷移が入る分だけ、面の定義に手間がかかります。

例えば、最初は100〜200mの限定区間で試し、

遷移が未確定なら一定勾配の一次版で走らせ、

確定後に差し替える——そんな段取りにすると安全です。

ここでも狙いは同じで、位置出しを省人化し、色分け→その場是正で手戻りを消していきます。

 

条件しだいで上下に振れる・慎重に入り口を選びたい工種

交差点改良(単純形)短い道路改良(合流なし)は、図の中央付近。

断面の切替が少なければ十分に効果が出ますが、信号島や側道、複雑な縁部が加わると準備が重くなります。

断面タイプを2つ以内に絞った小区間から始めるのがコツです。

一方、交差点工事(複雑)・道路改良(側道合流あり)・下水道工事などは、図の右下〜中央下。

断面バリエーションが多かったり、点的作業が中心のため3D準備が重くなりがちで、初めての方が取り組むには、少し難易度が高いです。

どうしてもこの工種で初めてICTを導入しなければいけない場合は、

「位置出しだけ」など部分的に実施したり、単純な枝区間に限定して試すのが現実的です。

 

トライしやすい現場の条件

分かりやすく工種で説明しましたが、

まとめると下記のこの6つの条件が揃うと、初回の成功確率が上がります。

  1. 形が単純で短い区間
    直線/一定勾配/断面バリエーションが少ない。
  2. 工程が短期&関係者が少数
    合意形成が速く、段取りもシンプル。
  3. 地下埋設や干渉が少ない
    再測・是正のリスクが低い。
  4. 基準点が取りやすい
    既知点が近く、座標系・高さ系を合わせやすい。
  5. 検査要件が明確
    出来形の判定面(例:仕上げ面)が決まっている。
  6. 外部支援の余地がある
    データ整形や初回OJTをスポットで呼べる。

最初は「位置出し」だけをICT化!

それだけでも“測り直し”が目に見えて減るので、効率化を実感できるとおもいます。

 

避けたい“初回NG”パターン

逆に、避けたいパターンは下記です。

  • 複雑形状の交差点・大型構造が絡む(断面切替が頻繁)
  • 厳しい交通規制・夜間のみなど時間制約が強い
  • 発注者仕様が未確定(出来形基準・納品様式が曖昧)
  • 図面と現況に差が大きい(点群取得が必須だが工程に余裕なし)

まとめると

初回適正  例 備考
OK(◎) 直線100mの歩道切盛+舗装打替 片/両勾配テンプレで面を作りやすい
OK(〇) 農道の側溝入替+法面整形 位置出し+出来形照合がハマる
要検討(△) 曲線+勾配遷移が多い短区間 遷移表が必要。軽量3Dでも開始可
NG(×) 交差点一体改良(多バリエーション断面) 初回は負荷大。部分的な枝区間から

 

 

まとめ

図の“左上”から着実に

舗装・盛土・河川の整地は、低コストで高い効果を得やすい最初の一歩に最適と言えます。

曲線や法面は、短い区間×軽い3Dではじめ、確定情報に合わせて差し替えれば十分回ります。

複雑交差点や下水道は、まず位置出しだけのICT化で“部分効果”を取りに行きましょう。

 

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